グラスゴー日記

スコットランドのグラスゴーで大学院留学中です。

スコットランドといえばウィスキー!

 

前回の更新から10日ほど経ちますが、なんとグラスゴーはまだ晴れの日が続いています。今日の最高気温は24度とかなり暖かい月曜日となりました。ここ2週間くらい全然雨が降らない…

冬はあんなに暗くて寒くて憂鬱になってしまうような天気だったのに、5月になってこんなに晴れ間が続くとは驚きです。

 

 

さて、先週住居から徒歩5分のところにある(!)スコッチウィスキーの蒸留所に行きました。こんなに近場でウィスキーが造られているとは知らなかったのでその存在を知って驚きました。

クライド川の真横にあるThe Clydeside Distillery(名前そのまま…)というところなのですが、ちょうど去年できたばかりの新しい蒸留所だそうです。

 

www.theclydeside.com

 

そのため、この蒸留所で造られたウィスキーはまだ販売はされておらず、まさに今造っている最中とのこと。

 

スコットランドの他の蒸留所と同じように、この蒸留所もツアーを実施しています。

ツアーではスコッチウィスキーの歴史、またクライド川の歴史とグラスゴーの蒸留所に関する展示も見ることができます。

 

歴史に関して一通り見たあとは実際に蒸留所の中へ入り、ウィスキーができるまでの課程を見学することができます。

ウィスキーといえばその独特な香りが特徴的ですが、アイラ島で造られるものはピートと呼ばれる泥炭を使って大麦を乾燥させるために独特なスモーキーなにおいがします。

ピートを使って乾燥させた大麦、そうでないものとのにおいを比較するとその差は歴然。説明を聞きながらこういった体験ができるのも蒸留所のツアーならではで面白いです。(案内してくれるお兄さんのグラスゴーアクセント強めの英語はご愛嬌)

 

そして、ツアーの最後にはLowland, Highland, そしてIslay(アイラ島)の3種類のウィスキーを試飲することができます。このタイミングでツアーの案内のお兄さんにウィスキーに関しての質問もできます。

 

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この蒸留所を訪ねるまでグラスゴーにはかつて多くの蒸留所が存在したことは知らなかったので勉強になりました。

 

また、クライド川の歴史に関して解説があったのもよかったと思います。かつてはグラスゴーと世界を繋ぐ川であり、造船が盛んだった頃にはグラスゴーの経済を支えていた川でもあったにも関わらず、現在ではその面影を見ることはあまりできないので。

個人的にはかつてのドックがもう少し整備されていたりしてもよい気がしますが…

個人的には現在のグラスゴーでは産業革命の時代のことや造船のこと、当時の労働者階級の文化に関してはあまりアピールされていない気がしています。

それが良いとか悪いとかという問題ではないと思いますが、街の歴史の重要な部分であることに違いはないはずなので、知る機会はもう少しあってもよい気がするのです。

 

 

この蒸留所のキャッチコピーの1つに"Regeneration"が掲げられていたのは印象的でした。地域活性化や都市再生というと何か新しいことをやろうとか新しい建物を建てようという方向に行くパターンはよく見かけますが、ウィスキーという昔からスコットランドに根を張る産業がクライド川沿いのエリアの再生を担う可能性がある、ということは意外性があってとても面白いことだと感じました。

いつか近いうちにこの蒸留所で造られたウィスキーが出回るのかなと考えると楽しみです。

 

 

 

 

 

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今週のグラスゴーは…

グラスゴーでは先週末から今週にかけて(スコットランドなのに)毎日ありえないくらいの晴天が続いています。

気温も上がってきて陽の光を浴びると暑いと感じるくらいです。

 

 

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Kelvingrove Art Gallery & Museum側からはこんな景色が。

暖かくなってきてようやく風景の中に緑が戻ってきました。

 

 

 

 

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大学のメインキャンパスもこの通り。チューリップが咲いてとても綺麗です。

最近は大学の建物を見に来たのであろう観光客も多く見かけます。 

 

ようやく春らしくなって、私の大好きな大学の景色が戻ってきてくれて嬉しいです。

グラスゴー大学といえばこのメインキャンパスの美しさと荘厳さが大きな魅力だと思います。

(実際に出願する時にこのキャンパスに通いたいという願望は結構強かったです。)

 

ここで大学の歴史について少し触れてみようと思います。

大学自体は1451年の創立で、スコットランドではセント・アンドリュース大学に次ぐ歴史を持っています。

もともとはグラスゴー大聖堂の近くにあったグラスゴー大は19世紀に現在のウエストエンドに移されました。ネオ・ゴシック様式のこのキャンパスはその時に造られたものです。

 

このキャンパスはハリー・ポッターに出てきそう!とよく言われたりしますが、実際にこの大学にはクディッチ・ソサエティなるものが存在します。(イギリス国内の大学には結構あるらしいです)活動しているところは見たことがありませんが中庭ででも活動しているのでしょうか…?

 

 

 

今日は諸用がありシティー・センターに足を伸ばしてみると…

 

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平日にも関わらずこの人の多さ!

ちょうどお昼どきだったのもあってかRoyal Concert Hall前にはたくさんの人が座っていて驚きました。

銅像のあたりでストリート・ミュージシャンが演奏していたりして雰囲気もとても良かったです。暖かさとも相まって思わず手拍子したくなるような心地よさ。

 

グラスゴーのブキャナン・ストリート(シティーセンターの目抜き通り)には路上で演奏する人たちがたくさんいます。

お買い物をしていたら自動的に生演奏のBGMが流れるような感覚といった感じでしょうか。

グラスゴーはUNESCO CITY OF MUSICの都市の1つであることもあり、この街には至るところに音楽があります。

 

 

 

最近はもっぱら修士論文の執筆に追われていますが、こうして散歩するといい気分転換になります。

お天気が良くないことには定評のあるスコットランド。お天気が良い日はお散歩したほうがよいですね。気持ちも上向きになります。

 

 

 

 

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Bank Holiday 明けの火曜日

 

昨日イギリスは月曜が祝日だったために週末と合わせて3連休でした。

お天気も良く、大学の近くのKelvingrove Parkには日向ぼっこをしている人がたくさん。

スコットランドに来てから陽の光のありがたさは痛いほどわかるようになったので、イギリス人がお天気が良いと芝生の上でごろごろしたくなる気持ちもわかるような気がします。

 

 

いよいよ修士論文の執筆が始まり、今朝Literature Reviewのパートを指導教官に提出したところです。

私の指導教官はメールしてもすぐに返信をくれる、だいたいいつでも連絡がつく上にとても親切な人です。

大学や先生と連絡がつかないことなどイギリスに来てからは日常茶飯事なので、これは本当にありがたいことです…

 

私のコースが扱うのは文化政策ならびに文化産業と創造産業ですが、修士論文のテーマはわりと自由に決めることができます。(ただしコースの内容に関わるものの範囲内でないと突っ込まれます)

私が扱うのは分権後のスコットランドの文化政策の変遷と伝統音楽分野に対するその影響、といったトピックです。バグパイプ音楽に特化して書きます。

 

私はグラスゴーの大学院に来てからはグラスゴーやスコットランドの文化政策や文化団体の活動を扱うことがほとんどで、ならば修士論文もスコットランドに関するものにしたいなとぼんやり考えていました。

トピックを絞るまでいろいろと悩みましたが、最終的にはやはり好きなものについて書いたほうがよいなと思い、テーマを決めました。

3年前に初めてスコットランドを訪れた時に印象に残ったのは独特な響きを持つバグパイプの音色であり、その音楽はスコットランドを象徴するものの1つであるように感じています。

 

研究書を読んでいるとバグパイプという楽器1つを取り上げてみても、様々な見方や学問分野が関係してくるな、と感じます。

もともとはイングランドに抵抗してたハイランドの兵隊たちが戦場で使っていた楽器であったことを考えれば、それはスコットランドの歴史ともつながりますし、バグパイプで奏でられる音楽に注目するならばそれは音楽学の範疇に含まれるでしょう。さらにバグパイプの起源と広がりについて論じるならばかつてのスコットランド・ゲール語やその文化との繋がりがあり、近代の北米やその他ヨーロッパ地域へのバグパイプ音楽の広がりはスコットランド系移民がもたらした文化として捉えられると思います。

 

楽器1つに注目してもそこにはいくつもの世界が広がっていて、それはとても興味深いことですし面白いことだと感じています。しかしそれが同時に修士論文を書く上での難しさだとも思います。あまりいろいろな分野に手を出すと散漫かつ広く浅い論文になってしまうのでどの分野のことをどこまで扱うのか、ということは常に注意しなければなりません…

 

今のところは楽しく書けているので最後まで楽しくやりきりたいと思います。

 

 

 

 

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この間通学途中にスコットランドの国民的飲料、IRNBRU(アイロンブルー)のトラックを見かけました。

この飲み物、スコットランドならどこでも売っている上にみんな頻繁に飲んでいます。

スコットランドで圧倒的な人気を誇るオレンジ色のこの飲み物、最近イギリスでSugar Taxが導入されたことによってレシピの変更を余儀なくされたそうで…

 

それまでのオリジナルレシピのものをストックする人がいたり、レシピの変更がスコットランドの人の怒りを買ったりしていました。この一件でスコットランドの人たちのIRNBRUへの執着のすごさを垣間見ました。

 

 

 

 

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久しぶりのエディンバラ

昨日は久しぶりにエディンバラに行きました。

よく考えてみたら年が明けてから初めての訪問でした…

エディンバラへはグラスゴーから電車で50分と、割とすぐに行けてしまいます。

冬に比べたらだいぶ暖かくなっていたこともあり、観光客がかなり増えていて驚きました。さすが世界遺産の街です。

 

今回の目的はエディンバラのUsher Hall(アッシャー・ホール)というホールでチェコ国立交響楽団の演奏を聴くことでした。

 

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このホールはエディンバラ城の近くにあり、外装も内装もまさにヨーロッパのホール!という感じです。

実は以前短期留学していた間に一度このホールには来たことがあったのですが、今回はそれ以来の訪問だったので3年ぶりにまた来ることができて感慨深かったです。

 

私はクラシック音楽が小さい頃から好きで、グラスゴーに大学院留学してからも大学の学生オケに入っていたりもしました。演奏会に行くことはとてもいい気分転換になるので定期的に行っています。

 

今回チェコ響を聴きに行ったのは演奏曲目の中にドヴォルザークの交響曲第7番が入っていたからです。私が所属したグラスゴー大学のオケの今年の演奏会でちょうど取り上げた曲でもあったので思い入れのある曲であったこと、また参考音源としてよく聴いていたのがまさにチェコ響の演奏であったこともあり、今回の演奏会は普段音源で聴いている音を生で聴けるというまたとない機会でした。

 

作曲家たちの音楽を彼ら/彼女らの国の楽団の演奏で聴いてみたい!というのがかねてからの私の願いで、今回はその願いを叶えることができました。

ドヴォルザークはチェコの作曲家であることもあり、心なしかオーケストラの演奏もかなり気合いが入っているように感じました。

久しぶりのUsher Hallでとても心が満たされる時間を過ごせたのでこれで修士論文の執筆もきっと頑張れます。

 

他のヨーロッパの国はどうなのかわかりませんが、スコットランドではRSNO(Royal Scottish National Orchestra:スコットランドの国立オーケストラ)の演奏は学生は6ポンドで聴けたり、今回の演奏会も全席10ポンドで聴くことができたりと、学生はかなりリーズナブルな値段でプロの演奏を聴くことができて、とてもありがたいことだなと感じています。

 

 

 

 

 

(おまけ)

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Usher Hallでは、休憩時間になると結構な数のお客さんがこのアイスクリームを食べています。(グラスゴーのRoyal Concert Hallではあまり見かけたことがないような…)

せっかくなのでバニラ味のアイスクリームを私も食べてみました。おいしかったです。

 

 

 

 

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初めてのロンドン

先週ようやくすべての課題が終わったので、イギリス滞在8ヶ月目にして初めてロンドンに行きました。(主目的は就職活動…)

 

初めてのロンドンではとにかく人の多さに圧倒されました。

普段スコットランドで過ごしているとここまで多くの人に囲まれることというのはそこまでないので…

エディンバラなら観光客も多いですが、グラスゴーはそこまでではないと感じています。その上私は日本の地方出身なので人の多さにあまり慣れていません。。

美術館や博物館の多さ、見所の多さはイギリスではロンドンが一番だと思いますが、1年生活するのには私にはスコットランドがちょうどよさそうです。

 

ただ、人々の話す英語はロンドンのほうが聞き取りやすいことこの上ないです…

グラスゴーに帰ってきた時、あの強烈なグラスゴーアクセントの英語を聞いて、ああ帰ってきたのだなと実感しました。

ただ、スコットランドは良くも悪くものんびりしているなと感じます。人懐っこい感じというか、Are you alright? とグラスゴーなまりの英語で話しかけられるとなんだかほっとするくらいにはこの街に対する愛着のようなものがすでにあるのかもしれません。

 

 

来週にはスーパーバイザーも決まり、修士論文に向けていろいろと動き出します。

帰国まであと4ヶ月ほど、残りの時間を楽しみながら勉強に励みたいと思います。

 

 

 

 

春の訪れ

暖かい日が多くなってきて、ちらほらとお花も咲いてきた今日この頃。

世間はイースター休暇ですが、私のコースは課題の提出ラッシュです。

いつもより図書館も空いていて、過ごしやすい環境でエッセイを書いています。

 

来週はもう4月ということがなんだか信じられません。

今取り組んでいる課題が終わったら本格的に修士論文の執筆に入ります。

 

グラスゴーでの生活もあと4ヶ月ほど。

思っていたよりもはるかに1年はあっという間だなと感じています。

今取り組んでいる課題が終わったら少し気分転換にどこかに小旅行でもしたい気分です。

 

今日は日本の大学を卒業してからちょうど1年経つ日で、去年の卒業式を少し懐かしく感じたりもします。

学部生の時よりは少しは賢くなって日本に帰りたいと思います。

 

 

 

 

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少しずつ暖かくなってきたこの頃

今日のグラスゴーは晴れ時々曇り。

2週間前に降り積もった雪はすっかり跡形もなく消えてしまいました。

 

今日は普段より少し暖かい気がして、アイスコーヒーをtake awayして少し散歩しました。3月中旬から4月上旬にかけて怒涛の課題提出ラッシュですが、束の間のリフレッシュも大切な気がするのでたまには気分転換も必要だと自分に言い聞かせながら…

 

 

 

去るこの間の日曜日、所属していたオーケストラの演奏会がありました。

今年度最後の演奏会、すなわちそれは私にとってここでの最後の演奏機会となりました。演奏会の日のお天気は大荒れでお客さんが来てくれるのか心配ではありましたが、ホールに入るとたくさんの方が聴きに来てくださっていて気分が上がりました。

 

 

終演後は無事演奏会を終えることができてほっとしたと同時に、オーケストラを去ることを少し寂しくも感じました。

勉強との両立に不安もあり、大学院生活が始まった頃は入るかどうか迷っていましたが、今は入ってよかったと心から思います。むしろ、楽器を演奏することはかなりストレスの軽減につながったと思います。授業や課題で疲れていても、練習に行ってメンバーに会って、話して、練習しているうちにむしろ元気になるというか、練習のあとは明るい気持ちになっていたように思います。

メンバーはほとんどがネイティブもしくはヨーロッパ出身の学生なので、会話についていくのが大変な時もありましたが(特にネイティブは話すのが早くて)、誰かが一方的に話し続けるのではなくて、こちらの話も聞いてくれるのは本当にありがたいなと思っていました。

 

もう練習もなくて、メンバーのみんなと会える機会も減ってしまいますが、オーケストラでできた楽しい思い出と共に作り上げた音楽はこれから修士論文を書き上げるまできっと力になってくれると思います。

ただ誰かと話をしたり、お酒を飲んだりするのも楽しいけれど、ともに何か1つのものを作り上げることは本当に意義深くて貴重な体験だと思っています。特に日本を離れたこの場所で、音楽を通してたくさんの人と出会い、コミュニケーションができたことは生涯忘れられない経験になりました。

 

 

 

グラスゴーを離れてもきっとオーケストラで演奏した曲たちを聴き返せば、コンサートホールの風景や、仲のよかった人たち、オーケストラの響きを思い出すだろうなと思います。